Tan-Tan

パートナーを自死で亡くしたグリーフサバイバー(自死遺族)の毎日を淡々と綴っています サイト→『andante』https://andante069.amebaownd.com/

読んだ

頼んでいた『トランクの中の日本』が昨日届いたので早速読んだ。意外だったのが、写真集というより写真“本”、という感じだったこと。写真の隣に、それを撮った際のエピソードが掲載されていた。その時の“空気の感じ”がとてもこころに伝わってくる、そんな文章なのが良かった。だいぶ読みやすい訳だから、年齢の低い子でも読めるように、この本を作ったんじゃないかなあ、と勝手な推測。
被爆者の写真は2枚だけ。遺骨の写真は1枚。焼け野が原の広島や長崎。戦争にちなんだ写真はそれくらいで、あとはその当時の生活だとか、そういった写真ばかりだった。実際、オダネル氏も被爆者の写真はあまり撮っていないみたい。なので、写真で見るような分かりやすい恐さというのはない。静かなる恐怖はそこにあったけど(「焼き場にて」の写真もそう)。あとこころに残ったのは、街で出逢ったという風変わりな老人の写真。その横に掲載されている手記の内容も、こころがつぶされるような、そんな言葉だった(この写真もどっかのテレビで放送していたような…)。
この写真集が復刊してくれて本当に嬉しい。写真も「見るのが怖い写真」じゃないし、手記も読みやすい。値段も安いし、気になるひとにはぜひ買って読んで欲しい。そして学校図書にも置いて欲しい一冊だなあと思いました。

トランクの中の日本―米従軍カメラマンの非公式記録

トランクの中の日本―米従軍カメラマンの非公式記録