Tan-Tan

パートナーを自死で亡くしたグリーフサバイバー(自死遺族)の毎日を淡々と綴っています サイト→『andante』https://andante069.amebaownd.com/

読んだ

おかあさんの木 (ポプラポケット文庫 (032-1))

おかあさんの木 (ポプラポケット文庫 (032-1))

わたしと同年代で知っているひとはいないかなあ。小学5年生か6年生の国語の教科書に載っていた、太平洋戦争の話です。この民話を読むまで、わたしは戦争や原爆を『怖い』ものとしてしか捉えていなかったんだけど、「おかあさんの木」を読んでから変わったというか、怖いは怖いんだけど、『悲しい』という感情を初めて覚えたのです。
話の内容ですが、おかあさんには7人の息子がいて、次々と兵隊に取られていきます。兵隊に取られるたびに、裏の庭にキリの木を一本ずつ、「これは一郎の木、これは二郎の木…」と植えていって毎日話しかけます。「お国のためにしっかり働くんだよ」などと声をかけるんだけど、一郎の戦死の報告を受けてから、おかあさんの言葉に変化が生まれます。…それが本当に悲しくて、教科書を読みながら家で泣いた記憶があります。
この本には、表題作のほか、東京大空襲、広島の原爆、シベリア抑留、南国で戦った兵隊さんのお話、戦後の日本(これは書き下ろし)など、全部で8つの話が載っていて、どれも考えさせられるものでした。子ども向けに書かれてるからより分かりやすいぶん、ダイレクトに伝わるんだよねぇ。
あとひとつき。また8月15日がやってくるんだね。