Tan-Tan

パートナーを自死で亡くしたグリーフサバイバー(自死遺族)の毎日を淡々と綴っています サイト→『andante』https://andante069.amebaownd.com/

読んだ

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

フロイトユングにならぶ三大心理学者のアドラー・・・ってわたし知りませんでした。笑。それなりにカウンセリングの勉強してきて一度も出てこなかったような・・・それについては、この本を読み進めていくと意味がわかりました。
原因論に基づいた考え方のフロイト(というかまあ一般的?な心理学)に対し、目的論に基づいたアドラーの心理学。これはカウンセリングというよりも、本のサブタイトルにもあるように、自己啓発的な場に使える考え方かなあ。『癒し』という意味ではまったくないと言っていいくらい、クライアントの感情は、ばっさり切り分けられています。通して読んでみて、感情(怒り、苦しみ、悲しみなど)は持っていてもいい、でも、どう捉えるかで自分の世界は変わるのだから、変わる勇気を持とう、とひたすら言われ続けた感じ。一応、共同体感覚っていう言葉はあるけど、いわゆる「共感」ではないよなあこれ。
ちなみに本当は「個人心理学」というらしいですが、社会性を重んじる日本ではそれでは受け入れられないだろうということでわざわざ「アドラー心理学」と呼んでいるそうな。なるほどなあとは思いました。平たく言えば「人は人、自分は自分」の心理学。家族が悩んでいたとしても、それは自分の問題ではない。下手すれば、物事を自分の気持ちのいい方に捉えられない、人の気持ちに巻き込まれてしまうのは自分の責任、と言われちゃいそうな勢いで、精神疾患を患ってカウンセリングしている人にはまったく向いていません。
でも、病気じゃない人には使えるかなあとは思います。伏せるほどではないけれど、対人関係で悩んでいる人。あとはまあ・・・「今この状況よりももっといい状況に変えたい!!」と思っている人。上昇志向の強い人?前向きな人?まあ、そんな人たち向き。笑。考え方を変えれば世界が変わる、っていうのは、ある意味ビジネスで使えますよね。
全編通して読んで思ったのは、別に難しいこと言っていないのに(むしろ心理学の世界ではよく言われていること)、なんてひねくれた考え方なんだろーってこと。だから、心理学というよりも、これは哲学書だと思って読んだ方がわたしにはしっくりきました。ひとつの物事をこねくり回して出た考え方。嫌いじゃないですけどね(むしろ好き)。
この本自体、大ベストセラーだったようで、全く知らなかった自分にショックでした。あんなに本屋に通っていたのにわたしはどこ見てたんだ・・・(主に漫画雑誌占星術)。あまりオススメはしませんけど、アドラーの心理学の入門書として読むのにはちょうどいいかもしれません。わたしは「青年」のアツさが邪魔で邪魔で仕方なかったですけどね・・・。
ちなみにいま2回目です。再読中。