子ども欲しかった
いまはもう全く思わないけど、付き合ってた頃や結婚してた頃は、人並みに「子ども欲しい」って思ってた。
いまも、子どものいる人の話を聞くと、「やっぱり羨ましいなあ」とは思う。自分の家族を築くことが、わたしの夢だったから。
フミヲちゃんとは何度も話したよね。話したというか、わたしが一方的に話すばかりで話し合いにはならなかった記憶だけど。
いつ話してもフミヲちゃんは「自分の遺伝子残したくない」っていうばかりで。その理由は結局わからずじまいだったなあ。
本気で悩んでたときわたし、「スーパーにヒトの種売ってないかなあ」って思ったんだよ、知らなかったでしょ。それくらい思い詰めてた。
わたしは母親になりたかったし、フミヲちゃんと家族になりたかった。
フミヲちゃんも、「トモコさんと家族になりたかった」って遺してたね。
でもわたしは、夫婦ふたりが家族の単位だと思えなかった。何度も話に向き合ってもらえないのが悲しくて、もう夫婦でいるのは無理だって思った。その辺も、もっと諦めずにちゃんと話し合ってたら、いまとは違っていたのかなあ。
たられば言っても仕方ない。
いまひとりなのが現実。
このままひとりで暮らすなら、猫飼って暮らしたいとも思うんだけど、いまは命と向き合うのが無理かなって。喪失を恐れているところもあるよ。もうこれ以上傷つきたくない。
だめだなあ、って?そりゃそうだよ、だめに決まってる。わたしはフミヲちゃんほど愛情深くないからねぇ。